2011年6月21日火曜日

もんじゅ落下装置引き抜き作業、23日(木)か

産経ニュースは、高速増殖炉「もんじゅ」の落下装置の引き抜き作業が、今週木曜(23日)にも行われる方針と報じています。
MSN産経ニュース/もんじゅ 落下装置、23日にも引き抜き 福井

■炉内中継装置落下事故とは

もんじゅでは昨年8月、核燃料交換時に使う「炉内中継装置」(重さ約3トン)が吊り上げ作業中にクレーンから外れ、原子炉容器へ落下する事故が起きました。
以後、24回以上の引き上げ作業が試みられたものの失敗し、いまだ取り出せていません。
現状、燃料の交換も取り出しもできない状況となっており、復旧作業の責任者が自殺するほど深刻な事態に。発電量は0にもかかわらず、毎日5,500万円の維持費(税金)がかかっていると言われています。

原子力機構サイトより

調査の結果、落下の衝撃で装置が変形し、原子炉容器の穴に引っかかっていることが分かりました。
そこで、落下した装置とその外側のスリーブ(筒)を一体で引き抜く計画が立てられ、今月の実施を目指し準備が進められてきました。
Wikipedia もんじゅ炉内中継装置落下事故

■高速増殖炉とその危険性

高速増殖炉とはプルトニウムを燃料として発電しつつ、さらにプルトニウムを増殖するという特殊な原子炉です。
エネルギー問題を解決する「夢の原子炉」と呼ばれ、各国が取り組んできましたが、リスクが高いため撤退し、今では日本だけが開発を進めています。

高速増殖炉には危険な4つの特徴があります。
1.核暴走(核爆発)事故を起こしやすく、暴走の速度も速い。
2.冷却材のナトリウムは水に触れると爆発、空気に触れると燃える。
3.猛毒のプルトニウムを燃料にし、それを増やす。
4.構造的に無理があり、特に地震に非常に弱い。
高速増殖炉の危険な特徴

ナトリウムと水が反応をするため、もし暴走事故が起こった場合も、今、福島第一で行われているように水で冷やすことができません。
しかもプルトニウムを燃料としているため、事故時の危険性は通常の原発よりはるかに高く、西日本を中心に大被害をもたらす可能性が指摘されています。

ナトリウムと水の反応実験

■前例無き危険な作業

今回の引き抜き作業はナトリウムと核燃料が入った状態で行われ、本来、外すことが想定されていない部品を外し、引き抜きます。
もちろん仮設の覆いを設置するなどして、ナトリウムと空気が触れないように行われますが、なにしろ前例の無い作業です。もし原子炉を傷つけることがあっても大事故に発展する恐れがあります。
原子力機構は安全確保を最優先に取り組むとしていますが、過去にもミスからトラブルが発生しています。京大原子炉実験所の小出裕章先生は、万一、作業中に何らかの事故が起これば「即、破局」だとしています。
もんじゅの危険性について説明する小出裕章先生(動画)

原子力機構は落下装置引き抜き後に運転再開を目指していますが、もんじゅの下には断層があり、地震をきっかけに大事故が起こるという指摘もあります。
また、そもそも廃炉を前提にすれば、今回のような危険な引き抜き作業を行う必要が無いとも言われています。
元福井県越前市議・山崎隆敏氏の指摘

今のところ、作業日を報じているのは産経ニュースのみのようです。原子力機構では作業前日にはサイトなどで告知するとしているようですが、まだ予定は掲載されていません。
日本原子力研究開発機構

このように非常に多くの問題を抱えた作業が、私達の近くで、もうすぐ行われようとしているのです。

・テレビ朝日「報道発ドキュメンタリ宣言/増殖炉事故 [もんじゅ] 現場で何が・・・内部取材」(動画・2011年06月18日放送)
・福島原発以上に危険性のある高速増殖炉『もんじゅ』で今起きていること
・日本原子力研究開発機構/炉内中継装置引抜き・復旧工事について
・もんじゅ君(もんじゅ情報を発信するツイッター[非公式])

2 件のコメント:

  1. こんにちは。11日駅前で少し自己紹介しましたが、私は市民オンブズマン「高島見張り番」の西村です。
    来月、、7月2日(土)午後1時30分から今津町の東コミセン2階(市民ホール東側)で会合し、「滋賀県・高島市」の最新の原発対策などの報告や、出席者の自由な意見交換をします。問い合わせ・メールアドレス(kaiyosha@mbf.nifty.com)電話(0740-22-4176)西村まで。

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  2. 高島見張り番 西村様

    ご案内ありがとうございます。
    メールにてご返信いたしましたので、ご確認をお願いします。
    よろしくお願い致します。

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