2012年2月16日木曜日

滋賀県主催「原子力防災フォーラム」に参加して

2月15日(水)、高島市民会館で行われた「原子力防災フォーラム」に参加しました。
感想を一言で言うと、失望させられるものでした。

高島市長や県や市の担当者、京大原子炉実験所の先生も出席し、原子力防災指針の見直し状況についての説明と意見交換が行われました。しかし残念ながら、住民を守るという真剣な意思は、あまり感じられないものでした。

防災計画見直し案は、福井の原発から、福島事故レベルの放射能が放出されることを想定していますが、地震と原発事故の同時発生は考慮されていません。
会場からの「地震を想定していないのはおかしい。家屋が全半壊したら屋内退避もできず、交通路が機能せず避難もできない可能性が高い。」という指摘に対し、県側の答えは「原発事故の原因は地震だけではなく、テロなど様々なものが考えられる。今回はあくまで原子力事故に対する計画であり、地震とは分けて考えている。地震への対応は今後検討する。」というものでした。
今、最も心配される、地震と原発事故の複合災害を想定していないのでは、市民の不安に応える防災計画とは言えません。

「高島市からは南への避難路が1本しかなく、交通マヒで避難できないのではないか」との意見に対して、市防災監は「確かに現状では全市民一斉の避難は難しいが、防災無線で呼びかけて高線量の地区から順番に避難する等すれば、パニックを抑えて対応できると考えている」と、耳を疑う発言。湖上交通の活用も今後検討するとのことでしたが、現状では5万市民を脱出させる港も船もなく、仮に今後整備したとしても、震災時にそれが機能するかは疑問です。

世界でも稀な原発密集地帯の若狭湾では、地震などをきっかけに複数の原発が同時に制御不能になる恐れもありますが、それも考慮されていません。また、現時点では高速増殖炉「もんじゅ」の事故も想定されていないとのことです。

会場からは、関電など事業者からの情報入手や国のSPEEDIの情報伝達の責任所在についての指摘や、「防災とは何なのか。そもそもなぜ原発のリスクを受け入れないといけないのか。」「原発をなくすことが最大の原子力防災ではないのか。」との声も上がりました。

原発密集地帯に隣接する私達は、明日にでも事故が起こるかもしれないという緊迫感を持って、日々暮らしています。しかし、県・市側からはそうした緊迫感はまるで感じられず、計画も単なる机上の空論に思えてしまいます。
市民が納得できるような、現実的で実効性のある防災計画の策定を望みます。

西川・高島市長はフォーラム冒頭の挨拶で、心配する市民の声に応えて学校給食のための放射能測定機の購入予算を付けると述べました。一日も早く検査体制を確立してもらいたいです。

→滋賀県地域防災計画(原子力災害対策編)の見直し概要

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